売買契約締結により、売主は一安心。
買主は新しい物件への期待に、胸を弾ませていることでしょう。
しかし突然、相手から契約解除を申し出されることがあります。
契約解除の申し出は、売主からも買主からも行うことができます。しかし通常の返品などと違い不動産売買の場合、契約を解除するのであれば、重いペナルティが課せられます。
契約をした後に「やっぱり売るのをやめた」「他にいい物件が見つかったから、買うのをやめよう」とは簡単にはいきません。
ここでは契約解除の種類とペナルティについて、しっかり学んでいきましょう。
6つの契約解除の種類
①手付け解除
手付け解除とは手付金を相手に支払うことで、契約を解除することです。
買主が契約解除を依頼する場合、手付金を放棄しなければいけません。
売主が契約解除を依頼する場合は、手付金の倍返しを行います。
手付け金は一般的に売買価格の5〜20%を、契約時に支払います。1000万円の物件の売買では、手付け金として50〜200万円が必要です。
5〜20%はあくまで目安であり、それよりも大きい割合で手付金を定めることもできますし、少なくすることもできます。
売主から見ると手付金の割合を大きく設定することで、買主が契約解除を言い出しにくくなるというメリットがあります。一方で自分が契約解除を申し入れる場合、2倍の手付金を支払うことになるので負担が大きくなります。
②危険負担による解除
危険負担による解除では天災(地震・洪水・台風)により物件が損傷した場合、修復するのに多額の費用がかかると認められた場合、買主は無条件で契約解除ができます。売主には落ち度や過失がない場合の解除です。
③契約違反による解除
契約違反による解除では買主、もしくは売主のどちらかが、契約違反を起こした場合、契約を解除することができます。この場合違反された方は、違約金の請求をすることができます。契約書通りにことを運ばない、期日までに催促に応じないなどが契約違反に当たります。
違約金は手付金による解除同様、多額の金銭の負担を負うケースがほとんどです。
④瑕疵担保責任に基づく解除
瑕疵担保責任に基づく解除では建物に瑕疵があった場合、買主は無条件で契約を解除することができます。
瑕疵とは売買の対象物の欠点で、不動産取引の場合「シロアリがいた」、「雨漏りをしている」などの建物の不具合です。瑕疵には外部から容易に発見することができない隠れた瑕疵も含まれます。
売主は目に見えている欠陥のみならず、将来予想されるであろう悪い状態まで全てを明らかにして引き渡すことが大切です。少しでもよく見せよう、高く売ろうと、瑕疵を意図的に隠す方もいますが、契約後でも瑕疵担保責任(欠陥があった場合、売主は責任を負わなければいけないこと)から逃れることはできないので、契約前にきちんと買主に説明を行った方がいいでしょう。
⑤特約による解除
特約による解除とは契約の内容に応じて、解除を行うことです。
例えばローンを申し込んだにも関わらず、貸付が受けられなかった場合ローン特約による解除を行うことができます。
⑥合意による解除
合意による解除とは、売主、買主、双方の同意の上での解除です。
売買契約書の重要確認項目
一度契約を締結すると、その契約を解除することは非常に難しいです。そのため売主は「その物件を本当に手放してもいいのか」、「瑕疵の説明責任を果たしているのか」など、契約前にもう一度確認しましょう。
買主は、「無理のない範囲の契約なのか」、「支払いは可能なのか」などを確認しましょう。
売買契約書に関しては、「書面に希望の条件が書かれているのか」、「無理のない条件になっているのか」、「不明確な部分がないか」を、判を押す前に確認して下さい。専門的な契約内容に関しては、不動産業者が相談にのってくれますし、専門家の紹介も行ってくれます。
契約が締結した後は売主、買主とも迅速に自分の役割を果たすようにしましょう。