マンションを売却する時に利益が出た場合、特別控除と買い換え特例と呼ばれる控除制度を利用して税金を軽減することができます。反対に損失が出た場合は、所得税と住民税を軽減することができる譲渡損失の繰越控除という制度があります。今回、これらの制度を詳しく紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
マンション売却時に利用できる特別控除について
マンション売却をする時に条件によって特別控除を利用することができます。この制度は、住居用として使用していたマンションを売却した時に利益が出ると、居住期間の長短に関わらず3000万円まで所得税が免除されます。この制度を受けるための条件として、まず初めに、自分たちが住む目的として使用しているマンションを売ることです。以前に住んでいたマンションの場合ですと、住まなくなって3年目の年の12月31日までに売却することが条件となります。次に、マンションを売却した年の1年から2年前までに同様の制度を利用していないことが挙げられます。また、マンションを売却する相手が家族や親戚といった関係者でないことも条件です。さらに、災害等により居住していたマンションが滅失した場合は、災害のあった日から3年目の12月31日までに、その敷地だけを売却する場合も条件に入ってきます。
ですが、以下の場合は適用除外となってしまいますので、確認しておきましょう。
まず初めに、この制度を受けることを目的に入居したと思われるマンションを売却する場合は適用除外となります。次に、新しい家を建築している間に仮住まいとして使用した場合や、一時的な目的で使用していたマンションの場合も適用除外です。そして、別荘等の、娯楽や保養目的で所有しているマンションもこの制度を利用することができません。
また、この制度は「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」と共に適用することができるのも特徴です。所有期間が10年を超えるマンションを売却した場合、所得税及び住民税の税率は以下のようになっていますので確認しておきましょう。
制度を適用した後の譲渡所得の内、6000万円以下の場合は、所得税は10%住民税は4%かかり、合計税率は39%となります。制度を適用した後の譲渡所得の内、6000万円を超える場合は所得税は15%住民税は5%かかり、合計税率は20%となります。
このように、特例と併用して利用することで、なるべく所得税が発生しないようにすることができますので、所有するマンションが10年以上経過しているかどうか確認しておきましょう。
マンション売却時に利用できる買い換え特例について
次に、マンション売却時に利用できる制度に買い換え特例があります。この特例は、マンションを売った時に利益が3000万円を超えると適用することができます。また、マンションを売却した時に出た利益で新しい住宅を購入した場合、その差額の金額分の税金は、新しい住宅を売却するまで繰り延べができることも特徴です。
買い換え特例が適用できる条件として、まず初めに、売却するマンションの所有期間が10年以上であることと、所有者の居住期間も10年以上であることが挙げられます。次に、新しく購入した物件の面積が500平米以下であることや、床面積が50平米以下であることも条件になります。そして、マンションを売却する相手が親子であったり親族といった関係者でないことも必須条件です。
ここで注意したいのは、買い換え特例は特別控除と共に利用することができないため、どちらか一つだけが適用されることになります。ですので、どちらの制度を利用した方が得になるのかしっかり検討することが大切です。
また、買い換え特例には、マイホームの他に特定事業用資産に適用できるものがあります。これを、特定事業用資産の買い換え特例と言います。個人が事業用に所有しているマンション等を売却し、一定期間内に新たな土地建物等を購入した場合、その購入した日から1年以内にその土地建物を事業の用途として使用した場合に適用を受けることができます。この特例を受ける場合、売却金額より買い換え金額の方が多いと、売った金額に20%をかけた金額が収入金額となり、そこから譲渡所得の計算を行います。もし売却金額より買い換え金額の方が少ない場合は、その差額と買い換えた金額に20%をかけた金額を合わせた金額が収入金額となりますので、そこから譲渡所得の計算をします。
ちなみに、買換えのために売るマンションと新たに購入する土地建物等は、共に事業用のものと限られていることが特徴です。
その計算方法として、売却金額より買い換え金額の方が多かった場合は、譲渡代金に20%をかけた譲渡収入金額から、譲渡資産の取得費+譲渡費用に20%をかけた金額を差し引いた額が譲渡所得となります。
譲渡損失の繰越控除について
マンションを購入してから、その価値が下がってしまい、マンション売却時に損をしてしまうことがあります。その場合、所得税や住民税を軽減することができる制度があるため、しっかり利用することが大切です。これは、譲渡損失の繰越控除と呼ばれる制度で、マンションを売った年の所得税を計算する時に、給与所得や事業所得から譲渡損失分を差し引くことができます。また、マンションを売った年の所得より譲渡損失が上回った場合は、その差額分を翌年以降に繰り越すことができ、最長で4年間に渡りこの制度を利用することができます。さらに、この制度は、所得税だけではなく住民税にも適用できることが特徴です。例えば、給与所得が700万円の場合、1000万円の譲渡損失があると、マンションを売却した年の所得700万円から、損失の内700万円分を差し引き、所得をゼロにすることができます。そうなると、所得税だけではなく翌年の住民税もゼロになるため税金を納める必要がなくなります。さらに、前の年に差し引くことができなかった300万円分は翌年の所得からさらに差し引くことができる仕組みになっています。
ちなみに、この制度はマンションを売却しただけの場合と買い換えた場合では受けられる内容が異なりますので、以下の条件を確認しておきましょう。
まず初めに、マンションを買い換えた場合です。居住用として使用していたマンションを売却した年から翌年までの間に新しい住宅を購入し、その購入した住宅のローンが12月31日の時点で残っている場合に適用することができます。例えば、2000万円で購入したマンションを1500万円で売却した場合、差額の500万円に制度を適用することができます。
次に、マンションを売却しただけの場合ですが、居住用として使用していたマンションを売った日の前日までに、このマンションのローンがまだ残っていると、この制度の利用が可能です。例えば、ローンが1500万円残っているマンションを1000万円で売却した場合、1500万円-1000万円の500万円が制度の対象となります。
マンション売却時には制度をしっかり利用しましょう
今回、マンションを売却する時に利用できる制度について紹介してきました。マンション売却時に利益が出た場合、特別控除と買い換え特例を利用することができます。特別控除は、利益が3000万円以下の場合に適用され、所得税が免除されます。反対に買い換え特例は、利益が3000万円を超えた時に利用することができる制度です。ちなみにこの二つは併用することができないため、気を付けましょう。
そして、もしマンション売却時に損失が出てしまった場合は譲渡損失の繰越控除を利用することができます。所得税と住民税を軽減することができるだけでなく、最長で4年に渡って利用することが可能なため、マンション売却で損失をした場合は必ず利用しましょう。
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