不動産投資で不労所得
最近ではワンルームマンション投資が流行し、サラリーマンでも副業として不動産投資を行い不労所得が得られる時代になってきました。
「不動産投資なんて自分にはまったく関係のない話」「なんだかうさんくさい」と思う一方で、正しい方法でマンション投資に成功して利益を出しているサラリーマンがいるのも事実です。
しかし、その一方で、甘い言葉にのせられて不動産を相場より高く売りつけられたり、存在しないマンションを購入したりと不動産投資詐欺の被害者となる方が後を絶ちません。
今回は、サラリーマンが不動産投資を行ううえで知っておきたいポイントや、不動産投資詐欺に合わないための心得を伝授していきます。
サラリーマンを狙った不動産投資詐欺
不動産投資に興味を持っている、もっと不動産を買いたいと思っているサラリーマンは不動産投資詐欺に注意しましょう。
「詐欺師は常に狙っている」「今近づいている人が詐欺師かもしれない」という危機感と猜疑心は、常に持っておくべきです。
不動産投資は扱う金額が莫大なため、自ずと詐欺にあった際の被害額も大きくなりがちで、不動産投資詐欺は刑事事件化が難しいという背景もあります。
金を奪われたという確証がない限り、日本の警察は動いてくれないため「不動産投資の話があるが、怪しい」「詐欺のような気がする」という程度では、警察は取り合ってくれません。
警察官の数にも限りがありますので、こちらがある程度詐欺の立証をしない限り、警察はわざわざ人員を割いて犯人検挙をすることはありません。
また詐欺立証の準備をしている間に、通常詐欺師は雲隠れしてしまいます。警察に被害を届け出ても、被害者が多い場合や被害額が大きい場合を除き、雲隠れした詐欺師を警察は見つけてはくれないでしょう。
そのため、不動産投資に関する最低限の知識を身につけて「詐欺の被害に合わないこと」が何よりも大切なのです。
詐欺師は”事実”を織り交ぜて不動産投資を勧めてくる
不動産投資詐欺を紹介する詐欺師は、事実を織り交ぜた巧妙なトークで人を騙します。
それぞれの事実を確認したうえで、冷静に判断しましょう。
①家賃収入は公的年金の代わりになる
投資コンサルタントを名乗る詐欺師の常套句は、年金への不安を煽るものです。
投資コンサルタントだと名乗るのには、何一つ資格が必要ありません。あなたも今から投資コンサルタントだと名乗ることができるのです。
詐欺師はこの投資コンサルタントという名前を使い、ターゲットに近づきます。
詐欺師はよく、公的年金が将来支払われない可能性が高い現在、家賃収入が年金の代わりになるといった営業トークをよく行います。
これは一般の不動産投資会社でも良く言われる話であり、確かに投資を行い、毎月家賃収入を得ることができるようになれば、働かずにお金が入ってくるので、”年金代わりになる”という話は事実といえます。
②不動産投資は節税対策になる
ファイナンシャルプランナーを名乗る詐欺師の常套句は、節税対策です。実はファイナンシャルプランナーも投資コンサルタント同様、無資格で誰でも名乗ることができる職業です。
しかしファイナンシャルプランナーと聞くと、家計の負担を減らしたい方や節税に興味のある方は、ついつい相談してしまう節があります。
ファイナンシャルプランナーは相談を聞く振りをして、相談者の年収や貯金額、資産について根掘り葉掘り聞き出し、相談者も抵抗や疑いなく本当のことを言ってしまうのです。
その中で目をつけたターゲットに、自称ファイナンシャルプランナーは、節税対策のための投資を持ちかけます。
マンション投資での節税とは、所得税の還付金のこと。不動産投資により赤字が発生しても、本業の黒字と損益通算を行うことができるので、給与所得が赤字になることはないばかりでなく、所得税が還付金として戻ってくるのです。
つまり仮に不動産投資に失敗しても本業と合わせれば、所得税が還付されるので、決してマイナスにはならないという論理です。
もちろん節税のための不動産投資という手法は実際に存在し、上手くいくケースが多いです。
詐欺師も1から10まで嘘をつきません。彼らはお金をだまし取ることが目的ですが、ターゲットが賢いことも分かっているので、少しづつ嘘を練りこんだり、騙したりしながらも事実についても話しています。
親しくなるに連れ、いつしかその詐欺師が誠実に、そして信頼できる人物に見えてくるかもしれませんが、契約を結び融資の手続きを行った瞬間雲隠れします。販売業者の事務所に行っても、もぬけの殻です。
詐欺師に騙されないためには、近づいてくる人についてはよく吟味することです。
詐欺師は相手を信用されることや相手の心理につけこむのが非常にうまいので、少しでも怪しい、おかしいと感じれば、消費者センター・警察などの公的機関や信頼できる人物に相談しましょう。
サラリーマンに不動産投資を勧める理由①購入後放っておけばいいだけ
株やFX、先物、金など様々な投資商材がありますが、その中でも不動産投資、一番かける時間が少ないと言われおり、忙しい方でも始めやすいと言われています。
ただし物件を購入する前だけは忙しくなるので、本業の繁忙期の前に購入し、繁忙期に入ると何もしなくてもお金が入ってくる仕組みを作りましょう。
仕事終わりや週末は全て投資物件探しのために、使うくらいの気合の入れようが大切です。不動産投資は株などと違い、全く同じ条件の商品は一つとしてありません。
どんな物件に出会ってもこの世に一つしかないのです。そのため後で「あの物件を買っておけばよかった」という後悔もあれば、「もう少し待って別の物件を買えばよかった」という後悔もあります。
希望にあった物件を見つけるには時間と運も必要ですが、それ以上に市場の動向に目を光らせながら決断していく力が大切です。
不動産投資は、クリック一つで買える株とは違い、購入までにもかなり時間がかかります。宅地建物取引業法で必要最小限の条件は規定されていますが、詳細条件は現オーナーとつめていかなければいけないのです。物件一つ買うだけで、かなりの労力を必要としています。
購入前の労力を惜しんだり、どうでもよくなってしまったり、購入自体を諦めてしまうこともあるかもしれませんが、最初の労力を惜しまないことが不動産投資詐欺に遭わないためのポイントです。
サラリーマンに不動産投資を勧める理由②資産形成ができて退職後も安心
不動産投資を行うと、賃料として毎月定期的に収入が入ってきます。売買によって収入を得るわけではないので、入居者さえ入れば確実で安定的に収入が入ってくるのです。
毎月、毎年の収入を予想することができるので、突然のリストラや倒産など本業が上手くいかなくなってしまっても、毎月安定した収入を得ることができるのです。物件のローン返済が終わると、資産として自分のものにすることもできます。
サラリーマンに不動産投資を勧める理由③サラリーマンは融資を受けやすい
サラリーマンは自営業の方に比べ、会社の信用力があるので金融機関から融資が受けやすいというメリットもあります。
アパートやマンションを1棟購入する場合、安いものでも1000万円以上の資金が必要になり、金融機関からの融資なしには物件の購入は厳しいです。
投資物件を所有するほとんどのオーナーが、最初は銀行から融資を受け、経営を始めています。
アパートローンでは物件の収益性や資産性についての審査のほか、借り手の収入や勤務先の安定性も重視されます。中小企業の経営者や自営業者に比べ、会社員は優良貸出先として融資稟議に通りやすく、希望額以上の融資を受けられることも多いです。
サラリーマン投資家がやりがちな大きな2つのミス
・周囲に不動産投資をしていることを話してしまう
ついつい酒の席などで気が大きくなり、同僚などに不動産投資を行なっていることを話してしまうことがあります。
しかし周囲に不動産投資をしている事実を話すと、「副業のせいで本業に身が入っていない」など、言いがかりをつけられてしまう可能性もあるため、会社の人には投資の事実は黙っておく方が無難です。
投資は一般的に副業ではありません。そのためわざわざ上司に報告する必要はないのですが、報告をした方が面倒臭いトラブルに巻き込まれやすくなるので、報告はしない方がいいでしょう。
ただしきちんと確定申告をして、不動産投資での収入を納税しないと、会社に連絡がいってしまうので、確定申告は確実にしましょう。
2.会社を辞めてしまう
投資が軌道にのってくると、毎日満員電車に乗り出社をし、夜遅くに帰ってくるのが嫌になり、仕事を辞めてしまう方もいます。しかし会社を辞めてしまうことは、正直おすすめめできません。
本業を辞めてしまうと、副業だった投資が本業になります。今までは仮に副業が失敗しても本業があるという後ろ盾がありましたが、後ろ盾がなくなってしまうと精神的なプレッシャーを強く感じます。
そのせいで無理な投資やリスクの高い投資に手を出してしまい、投資がギャンブルになってしまう方もいます。もちろんこうなると投資が上手くいかないばかりか、自己破産に陥ってしまうこともめずらしくありません。
会社を辞めたくなる気持ちも分かりますが、もしもの時は会社を辞めようくらいに留めておき、不労収入だけで生活するために会社を辞めるのは控えておいた方がいいです。
詐欺に遭わないために知っておきたい不動産投資の失敗率
不動産投資詐欺に遭わないために、不動産投資の失敗確率も頭に入れておきましょう。
収益不動産物件サイトである「健美家」が収益用不動産オーナー100人を対象に、不動産投資に関するアンケート行ったところ、不動産投資でうまくいった人は60%。逆に失敗した人は40%という結果が出たそうです。
不動産投資に失敗した人は「投資なんてするんじゃなかった」と、投資をしたことを後悔する一方で、投資に成功した人は「投資して良かった!不労収入を手に入れることができた!」と、投資をしたことに満足しています。
両者の違いには何があるのでしょうか。40%の人はどうして失敗してしまったのか、実際の失敗を元に失敗の原因について考えていきましょう。
不動産投資で失敗したケース
①メリットのみに目を向け、デメリットを考慮しなかった
自営業者のAさんは将来もらえる年金が、自営業者は会社員より月額10万円程度少ないということに日頃から不安を覚えていました。
仕事はある程度軌道にのっているものの、将来に備えた貯蓄が十分とはいえない。そんな時に投資で自分年金を作るという方法にたどり着いたのです。
将来自分が何歳まで生きるかは誰にも分からないため、Aさんは長寿になったとしても毎月安定して不労収入を得ることが不動産投資を選びました。
不動産投資とGoogle検索すると、何百という会社がヒット。その中から良さそうな会社に複数社アポを取り、営業マンから勧誘を受けました。
不動産業者の営業マンからは、不動産投資のメリットばかりを説明され、デメリットについての説明はほぼありませんでした。Aさんも良いことばかりを受け止め、不動産投資が失敗するかもしれないなんて考えもしなかったようです。
そして相続で取得しつつも活用できていなかった土地にアパートを新築し、不動産投資をスタート。
最初は新築ということもあり、入居者が簡単に集まり満室になりました。
このまま順調に投資が進むとAさんは考えていたようですが、最初に入居した入居者が退去すると、次の入居者がなかなか見つからず資金繰りに窮していきました。
シミュレーションでもある程度の空室リスクは想定していたものの、想定以上に空室が広がり、営業マンの話通りに投資が進まなかったのです。
つまりAさんはうまい話に乗っかり、リスクやデメリットを考慮せずに不動産投資にチャレンジしてしまったのです。
【教訓:営業マンの話を鵜呑みにせず、自分で調べる】
Aさんの失敗例から学べることは、営業マンの話を鵜呑みにせず、メリット・デメリット含めて正しく理解することの大切さです。
営業マンは不動産投資を行ってもらうことが仕事なので、メリットばかりを強調した営業を行なってしまいがちです。
特に営業成績によりプレッシャーをかけられている営業マンは、顧客の利益より自分の成績優先で投資のリスクなどを殆ど説明することなく、良い面ばかりを強調し契約を迫ってきます。
不動産投資を行う際には営業マンの話を聞くだけでなく、自分自身でもよく調べることが大事です。
またシミュレーションを行う際には、空室リスクについても厳し目に想定し、自己資金でいくらまでなら赤字分を補填できるのかといったよりシビアなシミュレーションを行いましょう。
②根拠が乏しいのに、値上がりすると信じてしまった
元々不動産投資に興味があったBさんは、不動産投資に関する情報を集めていました。
そんな時に安く買って、高く売れる物件があるという話を聞いてある不動産会社を訪問。
人気エリアにある中古マンションのため、将来的に値上がりの可能性が高いと勧められ、そのマンションの購入を決めたBさん。値上がりするまでは、マンション経営を行い、値上がりしたタイミングで売ろうと決めていました。
しかしいざマンション経営を始めてみると、物件の老朽化により想像以上の修繕費がかかり、家賃も経年劣化により下げざるを得ず、賃料収入も年々減少していきました。
そのためBさんはこれ以上マンション経営を行なっても赤字を垂れ流してしまうと考え、物件の売却を依頼。
買った額と同額程度で売れれば良いと考えてしましたが、実際の査定金額は取得金額よりも大幅に減少してしまいました。
Bさんはそれでも売るしかなく、結局3000万円の赤字だけが残ったそうです。
【教訓:不動産投資には流動性リスクがある】
Bさんの失敗例から学べることは、地価が上がる可能性のパーセンテージと不動産投資の流動性リスクを考慮すべきだったということです。
Bさんは将来値上がりすることを期待し、安く買って高く売ることを目的に不動産投資を始めましたが、何年後に地価が上がるのか、そして上がる確率が何%なのかといった部分の想定を不動産会社からもらったデータだけで判断し、他の専門機関の分析などは一切見ていませんでした。
そのため、第三者機関の想定と不動産会社の想定には開きがあったことを、物件売却の際に知ることになったのです。
また不動産投資の流動性リスクについても、Bさんは理解していませんでした。
不動産は売りたいと思っていても、希望の時期や価格で売れない可能性が高く、Bさんが所有していたのは、収益性が低い物件のためより市場で敬遠されました。
安く買って、高く売るという出口戦略を目指すのであれば、売りに出した際に買いたいと投資家に思われるような収益性の高い物件にオーナー自身が育てていくという必要があります。
地価が上がればどんな物件でも高く売れると安易に考える人も多いですが、収益性のある物件に自分の努力で育て上げていくという姿勢を心掛けましょう。
③業社・物件選びをおろそかにしてしまった
不動産投資に興味があり、ネットで物件を探していたCさんは地方に魅力的な中古アパートを発見。
Cさんはサラリーマンで家族持ちということもあり、物件を現地まで見にいく時間が取れませんでしたが、高利回りかつ価格も手頃で非常に魅力を感じたそうです。
不動産会社に問い合わせるとCさん以外にも問い合わせが多数来ていると言われ、焦ったCさんは物件を実際に見ることなく、不動産会社の説明だけで契約しました。
しかしアパート経営を始めて分かったのが、手頃な価格だったのは治安が悪い土地であったがためで、入居者も生活保護受給者など決して質が高いとは言えない人達ばかりでした。
Cさんは幸い収益面での失敗は免れたものの、入居者トラブルや近隣住民とのトラブルなどに頭を悩ませ、ストレスを抱えているそうです。
【教訓:現地確認が重要】
地方には掘り出し物件が数多くありますが、遠いという理由から実際に見ることなく、契約してしまうという人も多くいます。
しかし物件を自分の目で見て確認するということは非常に重要で、どんな入居者が入居しているのか?治安は?周辺の賃料相場は?と、現地に行かなければ分からないことは沢山あります。
地方の掘り出し物件といっても、数百万円以上の投資になるはずで、決して少ない資金を投資するわけではありません。実際に現地に足を運び、物件は慎重に選ぶようにしましょう。
コロナ禍ということもあり、どうしても現地に行くことができない場合には、不動産会社にリモートで物件や周辺環境を案内してもらっても良いでしょう。
また物件選びの際には、複数の不動産会社を比較検討することも大切です。
特に遠方の物件に投資する場合は、実際に現地まで足を運ぶことが難しいため、不動産会社に管理を丸投げするケースが多いでしょう。
現地に行けない場合、管理の質が低くてもオーナーが気付くことが難しく、管理の悪さから退去に繋がったり、資産価値を落としてしまっているということもあります。
管理の行き届いていない物件は、優良入居者から嫌煙され、結果的に質の悪い入居者ばかりが集まってしまいます。
信頼できる不動産会社を見つけるためには、複数の不動産会社の営業マンに会い比較、検討することが大切です。
特に管理物件の入居率が95%以上を維持している会社は、管理の質に期待できます。
管理戸数の多さに目を向け、管理戸数の少ない会社は良くなさそうと決め付けている人もいますが、確かに管理戸数の多さは実績として信頼できます。
しかし中には100戸以上の物件をたった1人の担当者が担当しているというケースもあり、満足の行く管理サービスが提供されていないケースもあります。
そのため管理戸数の多さよりも、入居率に比重を置いて不動産会社選びをするべきです。
不動産投資の失敗例として多い原因トップ4
①空室が埋まらない・空室が長期化
②修繕費や維持費など想定外の出費がかかった
③相場より高く購入してしまった
④需要の低い場所であった
このように不動産投資の失敗の多くは、知識を蓄え、情報収集し、調査を行うなど予めしっかりと準備を行ってさえいれば、防げた失敗ばかりです。
逆に成功した人は、投資を行う前の準備に余念がありません。また成功者の52.3%が本を読んで不動産の知識を身につけた人が多く、投資を行う前に最低限の知識武装は必須だと言えるでしょう。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産詐欺に遭わないために、不動産投資ローンと住宅ローンの違いについても理解しておきましょう。
住宅ローンとは自身で住む物件を購入したり、改築したりすることに対して適用されるローンです。自己資金で全て賄うことができることが理想ですが、資金が足りない場合に金融機関からお金を借ります。
一方不動産投資ローンは、家賃収入を得る目的の収益用不動産を購入するために、金融機関からお金を借りる際に適用されるローンです。
不動産投資ローンと住宅ローンは似て非なるローンのため、相違点についてよく理解しておく必要があります。
不動産投資ローンと住宅ローンの大きな違いは、他人に貸して収益を得る目的の物件購入か、自分で居住するための物件購入かという点です。
どちらも同じだと自己解釈して収益用不動産を購入するにもかかわらず、住宅ローンを組むと重大な契約違反となります。
返済原資
返済原資とは借入金の返済にあてる資金のこと。住宅ローンの場合は債務者の収入が返済原資となります。
債務者は働いてお金を稼ぎ、給料の中から返済費用を捻出し、月々の返済に充てていきます。
ほとんどの金融機関では住宅ローンを組む際に、団体信用生命保険に加入することを義務付けています。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの債務者が返済期間中に死亡または高度障害状態になった際などに、その保険金で住宅ローンの残高が完済される保険のことです。
団体信用生命保険への加入により、金融機関は債務者が将来働けなくなったとしても貸したお金を回収することができます。
一方不動産投資ローンの返済原資は、毎月の家賃収入です。
債務者は収益用物件に入居する入居者から集めた家賃の中から、借り入れ費用を支払っていきます。
賃貸経営はビジネスにあたるため、入居者が集まらず赤字経営に陥り倒産してしまう可能性があります。
つまり両者の返済原資を比較すると、不動産投資ローンの方が貸し倒れリスクが高いということが分かります。
融資額
住宅ローンを組む際には個人の年収が借入可能額の目安となり、年収の5倍~8倍が上限だと言われています。
つまり、年収500万円の人の借入可能額はおよそ2500万〜4000万円。住宅ローンは30〜35年で組むことが一般的で、30〜35年の間に現在の収入を目安に返済できる金額が融資額になります。
不動産投資ローンの融資額の上限は、個人の年収の10倍~20倍を上限とすることも多いです。
不動産投資ローンでは、事業への投資という側面も持ち合わせているため、住宅ローンに比べ融資可能金額が上がり、年収500万円の人が1億円を借り入れることも可能なのです。
想定される家賃収入だけではなく、債務者の年収や貯蓄も加味されて融資額が決定されます。
金融機関の融資額の回収可能性を考えると、住宅ローンの方が回収可能性は圧倒的に高いということがよく分かります。
このように返済原資、融資額により金融機関のリスクが大きく異なるため、不動産投資なのに住宅ローンを使用することは禁止されているのです。
ここで不動産投資なのに住宅ローンを利用するメリットなんてあるの?という疑問を持たれるかもしれません。
実は不動産投資ローンよりも住宅ローンの方がメリットは大きいため、不動産投資なのに住宅ローンを隠れて利用する人がいるのです。
住宅ローンは融資金利が圧倒的に安い
不動産投資なのに住宅ローンを利用する最大のメリットは、融資金利が低い点です。
住宅ローンの金利は、金融機関にもよりますが年利0.5%~2.0%程度。一方不動産投資ローンの金利は、年利1.5%~4.5%程度と金利が3倍以上も違ってくるのです。
金利が大きく変わるのは、貸倒れリスクの差によるもので、住宅ローンでは個人が勤続する限り返済不能に陥る可能性は低いです。
しかし不動産投資ローンの返済原資である家賃収入は常に一定とは限らず、空室や家賃相場の下落などにより想定した収入を得ることができなくなるリスクがあります。
このため金融機関もリスクを加味し、個人よりも高い金利を設定しているのです。逆に安定した収入が見込めるような収益物件では不動産投資ローンであっても金利が低くなる傾向があります。
・住宅ローンの方が審査基準は緩い
住宅ローンの融資を受ける際には、個人の属性が審査されます。
個人の属性とは、返済能力や信用度のことで、年収、勤続年数、貯蓄金額、他社での借入金額、金融事故の履歴などが調べられ審査されます。
不動産投資ローンの融資を受ける際にも、審査が入り個人の属性のみならず、物件の収益性も入念にチェックされます。
物件の収益性には物件が存在するエリアや物件の築年数、家賃設定や過去の物件売買履歴などが入ります。
つまり不動産投資ローンの方がプラスαの審査が入るので、住宅ローンより審査基準が厳しくなります。
金融機関によって審査基準は異なるため、ある銀行では融資を断られたにも関わらず、別の銀行では融資が通ったということもあるでしょう。
ただし何行も融資を断られていて、個人の属性に問題がない場合、物件の収益性に問題があるということなので、投資物件の再検討を行う必要があります。
このように住宅ローンはメリットが大きいため、不動産投資であっても住宅ローンを利用したいと考える人が大勢いまが、上手く金融機関を騙すことができ、住宅ローンで収益物件を購入できたとしても安心できません。
というのも、物件の購入後も金融機関からのチェックが続くからです。契約して数年が経っていたとしても、後に契約違反が発覚した場合残債の一括払いを求められることが通例です。悪質な場合、詐欺罪に問われることもあります。
不動産投資ローンを利用するメリット
住宅ローンのメリットばかりが目についてしまい、不動産投資ローンを利用するメリットを薄く感じられた人も多いかもしれませんが、不動産投資ローンには不動産投資ローンならではのメリットがあります。
レバレッジ効果
レバレッジ効果とはいわゆるテコの原理のことで、”小さい力で大きな効果をもたらす”という意味です。
不動産投資の場合自己資金が少なかったとしても借入を行うことで少ない資金を増やし、少ない頭金で収益性の高い物件を購入することが可能になります。
収益性の高い物件の生む利益は高額なため、レバレッジ効果により投資利回りを高めることができるのです。
自己資金が少ないから資金を貯めて投資を行うという考えの人もいますが、これではいつまで経っても投資を行うことができず、良い物件に巡り合っても購入のチャンスを逃してしまうかもしれません。
しかし不動産投資ローンのレバレッジ効果を利用すれば、自己資金が少なくても投資を始めることができるのです。
家賃収入でローンの返済ができる
不動産投資ローンの返済原始は、家賃収入にあたるため債務者は労働をしなくてもローンを返済することができ、経営が上手くいくと不労所得を得ることさえできるのです。
ただし賃貸経営は空室や家賃滞納、災害などにより、家賃収入が減ってしまうこともあります。
毎月の家賃収入だけを頼りにローンの返済額を設定すると家賃収入が減少した際に、貯金を切り崩して返済しなければならなくなるというリスクもあります。