扱う額が大きい不動産投資は、小さな一つの失敗が大きな損失を生みかねません。
無計画に投資を、始めるのはまさに自殺行為。投資に興味をお持ちの方は、成功させるためのポイントを押さえてリスクを回避しましょう。
不動産投資の3大リスクに備えてリスクヘッジを行う
不動産投資には経済的リスク、運用リスク、建物損壊リスクの「3大リスク」が存在するといわれており、これらのリスクを回避するためには、将来的に起こるリスクに備えて準備しておくこと、つまりリスクヘッジが必要です。
不動産投資成功者は以下のようなリスクヘッジを行い、大きな失敗を回避しています。
不動産投資の経済的リスク ー金利上昇・消費増税—
不動産投資におけるおもな経済的リスクとは、金利上昇と消費増税です。
このリスクを回避するためには、金融機関の選び方が重要になってきます。ローンを組んで購入される方や融資を受ける方は、必ず自分で金融機関を選びましょう。
親切な不動産会社であれば、金融機関の紹介まで行い、話をつけてくれることもあるようですが、初めての不動産投資で失敗してしまう原因の一つはこれです。
右も左も分からないまま、不動産会社に任せきりになってしまい、融資先も決めてくれるというのは、正直かなり助かります。
自分で選ぶ手間や面倒から解放されるので、不動産会社に言われるがまま判を押す方はとても多いのです。
しかし融資の交渉を自分で行うと、良い金利を提示してくれることがあります。金融機関のローン金利は定期的に変動しているので、自分で目を光らせておくことも大切です。
不動産会社の営業マンは多数の顧客を抱えているので、一人の顧客のためにここまでしてくれません。良い金利で融資を受けるのであれば、自分でアンテナを張っておくしかないのです。
また、不動産投資で利用する金融機関はできるだけ多くの候補から比較してください。2~3社でも少ないくらいなので、最低でも5社は話を聞くべきでしょう。
複数の金融会社で融資の話をすることで、交渉力がつきますし、他社より優遇された金利を提示していることもあります。
金利や消費税はたった1%上がるだけでも、投資額によっては大きな出費になります。
最初の金融機関選びで、不動産投資における損得勝負の半分はついているといっても過言ではありません。面倒だと思わず精力的に動くことが大切です。
不動産投資の運用リスク —空室・地価下落・家賃滞納ー
不動産投資における運用リスクとは、空室、地価下落、家賃滞納の3点です。
投資用物件を購入する前に、20年後、30年後を想定してください。
現代の日本では、少子高齢社会が進み、人口は減少すると予想されているため、おのずと地価も下がっていくでしょう。
しかし単に人口が減少すると言っても、主要都市と地方では、減少の仕方に大きな違いが出ます。
また駅が近い物件や家賃が安い、使いやすい間取りであるなど、さまざまなプラス要素のおかげで、20年後に想定されうる社会的な変化にほとんど影響されない物件もあります。
例えば単身向けのマンションの借り手が減り、空室が増えたとしても、家族世帯をターゲットに変更し、間取りを変えることで借り手が増える可能性も考えられます。
また、空室、地価下落リスクは不動産投資につきものですが、地価が下がったとたんに空室も増えるわけではありません。
地価が下がりにくい土地にある不動産を選ぶのはもちろんのこと、老朽化した設備を取り換えたり必要に応じてリノベーションを行ったりと、入居者にとって魅力的な物件であると感じさせる工夫で空室リスクを回避できる可能性が高まります。
なお、管理会社に管理を任せる場合は、依頼する前にその会社についてしっかり調べることも大切です。
インターネットが普及した現在では、昔よりも簡単に調べられるようになりました。管理会社選びで失敗する人もずいぶん減りましたが、それでも管理会社とのトラブルや倒産などのリスクも想定されるので、管理会社選びにも手を抜いてはいけません。
家賃滞納リスクは、避けては通れない問題です。富裕層にのみ貸し出していたとしても、富裕層=お金を支払ってくれるとも限りません。
滞納はされないようにと考えるではなく、最初から滞納されるかもしれないという姿勢で臨むことが大切です。その上で、滞納リスクを回避するために、下記の方法をとりましょう。
①家賃が期日までに支払われない場合は入居者に即連絡をする
1ヶ月分の滞納からすぐに対応しましょう。「1ヶ月分の滞納ならしょうがない、そのうち払うだろう」と、多めに見るオーナーもいますが、1ヶ月分払わないで済んだとなれば2ヶ月目、3ヶ月目も払わない可能性が高くなります。
また、注意されるまでは払わない借り手もいます。そのため期日までに支払われない場合、すぐに対応することが大切です。
「いろんな理由があるだろうし、もう少し待ってあげよう」「1か月くらいなら多めに見ようかな」という優しさを捨て、毅然とした態度で臨むことが大切です。
②2ヶ月以上の家賃滞納は保証人に連絡する
今現在、借り手との関係が馴れ合いになってしまっているオーナーは、今すぐにでも家賃を払うように促し、それでも支払わない場合、保証人に連絡しましょう。
その他、クレジットカード払いに対応したり、定借にしたりすることも有効です。
オーナーに有利な条件が増えれば増えるほど、借り手は減りますが、人気物件であれば多少条件が悪くても、借り手がいなくなることはありません。
物件の種類や条件によって、バランスを見ながらどこまでの条件であれば、借り手を減らすことなく、条件の良い契約を結べることができるのか見極めましょう。
建物損壊リスク—災害—
不動産投資における建物損壊リスクとは、自然災害などにより建物が被害を受けると修繕しなければいけないというリスクです。
そのリスクヘッジとして欠かせないのは、災害保険の完備です。
火災保険に加入しているオーナーは、全体の8割を超えますが、残りの2割のオーナーは火災保険に加入していません。
火災保険に加入していない方は「火災なんて起こることはほとんどないし火災保険なんて不要」だと考えるようですが、火災保険は何も火災だけをカバーしてくれるわけではありません。
地震以外の被害、例えば落雷や雪災、風災、盗難にも対応している万能な保険なので、火災保険への加入を強くおすすめします。
プラスαとして、地震保険にも加入しましょう。地震大国である日本なのに、不動産物件オーナーの地震保険への加入は3割ほど。これだけ頻繁に地震が起こっているのに、ほとんどの方が地震保険に入っていないのが現状です。
地震により建物が崩壊すると全てを失いますが、地震保険は数十万円の保険料で、不動産を失うリスクを防ぐことができます。
不動投資をする上で、予想される全てのリスクにおいてリスクヘッジを行いましょう。
リスクヘッジを行うと、まさかの事態にも対応できます。
不動産投資は確かに手間や面倒がかかりますが、その分リターンも大きく資産形成も可能です。
安堵できる将来が約束された投資なので、あとはリスクを回避し、発生したリスクに対しても、柔軟に対応しましょう。
不動産投資に失敗した原因とは?
本屋に行くと不動産投資の成功例を載せたハウツー本が多数ありますが、失敗した人の話を載せた書籍はほとんどありません。
しかし不動産投資に失敗した人も成功することを夢見て、不動産投資に挑戦したはずです。
それにも関わらず失敗してしまった人と成功した人の境目は、どこにあったのでしょうか?
ここからは実際にあった失敗例を学ぶことで、成功する不動産投資について考えていきましょう。
ファミリータイプマンションの見えない落とし穴にハマって失敗
失敗例1「マンションを一棟購入しようと物件を探していた時に、マンションには大きく分けてファミリータイプとワンルームがあることを知りました。
どちらにすればいいかと迷いましたが、より大きな利益が得られると思い、ファミリータイプを購入しました。
家賃収入を期待していたのですが、ファミリータイプは1部屋が大きい分リフォーム代がかさみますし、住宅数が少ないので家賃収入も思ったより期待できませんでした。」
この失敗を踏まえマンション一棟を購入する場合は、ファミリータイプとワンルーム、どちらのタイプがいいのか見ていきましょう。
ファミリー向け物件の不動産投資
ファミリー向け物件は間取りが多く、一部屋一部屋が広いので、その分マンション全体における部屋数は少なくなります。
家庭のある人はなかなか引っ越しもしないので、出入りも激しくありません。
賃貸物件の場合は、出入りが少ない方が安定的な利益が見込めます。
一方でファミリー向け物件は入居時に必要な出費(敷金・礼金など)が大きいからといって、家賃も同じように高くなるわけではないのです。
例えば同じ広さのスペースだとしても、単身であれば2~3人分の居住スペースを作ることができます。
そのため単身であれば家賃は2~3人分徴収することができます。同じようにファミリー向け物件でも家賃を2~3人分徴収できるかと言えばそうはいきません。
2~3人分のスペースを取っていたとしても、1家族分の家賃しか徴収できないので家賃収入だけで比較するとファミリー向け物件の方が損をする可能性が高くなり、利回りはファミリータイプの方が圧倒的に悪いです。
失敗を回避するポイント→賃貸では避けるべき、購入では選ぶべき
ワンルームマンションの不動産投資
ワンルームマンションは一部屋の居住スペースが小さくても需要があり、その分部屋数を沢山取ることができるため、入居者の数を増やしやすいというメリットがあります。
入居者が多いと家賃を多く回収でき、ファミリータイプに比べると利回りが良いです。しかし単身世帯は出入りが激しくなりやすいので、入居者募集を休みなく行わなくてはいけないというデメリットもあります。
好立地のマンションであれば入居者も集めやすいですが、交通の便の悪いマンションであれば入居者を集めるのは難しいでしょう。
ワンルームマンションの入居者は、若い世代がメインなので立地が大事なポイントです。
失敗を回避するポイント→立地が成功か失敗か決める大きなカギとなる
不動産会社の役割を軽視し、目先の手数料のみを考えて失敗
失敗例2 「ファミリー向けに賃貸マンションを購入。管理は不動産会社に全て任せていたので、家賃が毎月振り込まれるだけで煩わしさは、一切ありませんでした。
しかしいつしかこの不動産会社に毎月支払う手数料がもったいないと感じるようになり、不動産会社の説得を押し切り、自分で管理することに決めました。
大した手間ではないであろうと、高をくくっていたのが大きな間違い。実際には入居者からのクレーム処理、入居者募集、入居者の入れ替わりの度にかかるリフォーム代など、日頃の雑務の多さや出費に驚きました。
こんなことなら、一般管理にしなければ良かったです。入居者も以前のように第三者ではなく、直接オーナーに苦情を入れることができるので、なんでもないことでもケチをつけてくるようになりました。」
この経験談もよくある不動産投資における失敗談の一つです。年月が経てば経つほど、不動産投資に支払う手数料を出し惜しむようになります。
不動産会社はクレーム対処から入居者募集、部屋のクリーニングまでありとあらゆることを代行してくれます。
特に精神的に参るのがクレーム処理。クレーム対応で心が病んでしまう人がいるほど、実際にクレーム処理をするのは精神的に疲れる作業です。
今までクレーム処理をしたことがない方なら尚更、理不尽なクレームや話の通じない入居者に心身ともに疲れて果ててしまうでしょう。
自分で管理できると思うかもしれませんが、その自信は大抵の場合過信です。不動産会社に不信感を持っていたり、もっと安い管理費を希望しているのであれば、自分で管理しようとは考えず、新たな業者を探す方が賢明でしょう。
失敗を回避するポイント→不動産会社を信じ、欲をかかない
身の丈以上の物件を買って失敗
失敗例3「不動産投資に前々から興味があり、遺産相続によりまとまった資金が手に入ったこともあり購入を決意しました。
都内のマンション一棟を、半分は現金で半分はローンを組み購入しました。
一棟買いは土地も建物も自分の物になり、資産形成ができることが魅力でした。
しかし思うように入居者が集まらず、家賃収入からローンを返済して行くことが苦しくなってしまいました。
この頃は精神的な余裕もなく、追い詰められていました。
最終的には手放すことになり、手元には数百万円の負債だけが残りました。」
全くの初心者なのにハイリスク、ハイリターンの投資に手を出すのは、極めてリスキーです。
最初は空室保証のある物件を選んだり、マンション一部屋のみなど少ない投資から初めたりと、徐々に知識を増やしてから大きな投資を行うべきでしょう。
身の丈以上の投資に手を出すと、最悪の場合資産を全て失ってしまうことにもなりかねません。ハイリターンの投資はそれだけハイリスクなのです。
失敗を回避するポイント→→初めての不動産投資は家賃保証付き物件やローリスク物件を選ぼう
売買契約締結を解除されたらどうしたらいい?
不動産投資を成功させるためのポイントを抑えて物件を購入し、売買契約締結を締結したあとに、相手から契約解除を申し出されることがあります。
契約解除の申し出は、売主からも買主からも行うことができますが、通常の返品などと違い不動産売買の場合、契約を解除するのであれば、重いペナルティが課せられます。
契約をした後に「やっぱり売るのをやめた」「他にいい物件が見つかったから、買うのをやめよう」とは簡単にはいきません。
ここでは契約解除の種類とペナルティについて、しっかり学んでいきましょう。
不動産投資における契約解除の種類1.手付け解除
手付け解除とは手付金を相手に支払うことで、契約を解除することです。
買主が契約解除を依頼する場合、手付金を放棄しなければいけません。
売主が契約解除を依頼する場合は、手付金の倍返しを行います。
手付け金は一般的に売買価格の5〜20%を、契約時に支払います。たとえば1000万円の物件の売買では、手付け金として50〜200万円が必要です。
5〜20%はあくまで目安であり、それよりも大きい割合で手付金を定めることもできますし、少なくすることもできます。
売主から見ると手付金の割合を大きく設定することで、買主が契約解除を言い出しにくくなるというメリットがあります。
その一方で自分が契約解除を申し入れる場合、2倍の手付金を支払うことになるので負担が大きくなります。
不動産投資における契約解除の種類2.危険負担による解除
危険負担による解除では天災(地震・洪水・台風)により物件が損傷した場合、もしくは修復するのに多額の費用がかかると認められた場合、買主は無条件で契約解除ができます。
売主には落ち度や過失がない場合の契約解除です。
不動産投資における契約解除の種類3.契約違反による解除
契約違反による解除では買主もしくは売主のどちらかが、契約違反を起こした場合、契約を解除することができます。
この場合違反された方は、違約金の請求をすることができます。
契約書通りにことを運ばない、期日までに催促に応じないなどが契約違反に当たります。
違約金は手付金による解除同様、多額の金銭の負担を負うケースがほとんどです。
不動産投資における契約解除の種類4.瑕疵担保責任に基づく解除
瑕疵担保責任に基づく解除では建物に瑕疵があった場合、買主は無条件で契約を解除することができます。
瑕疵とは売買の対象物の欠点で、不動産取引の場合「シロアリがいた」「雨漏りをしている」などの建物の不具合です。
瑕疵には外部から容易に発見することができない隠れた瑕疵も含まれます。
売主は目に見えている欠陥のみならず、将来予想されるであろう悪い状態まで全てを明らかにして引き渡すことが大切です。
少しでもよく見せよう、高く売ろうと、瑕疵を意図的に隠す方もいますが、契約後でも瑕疵担保責任(欠陥があった場合、売主は責任を負わなければいけないこと)から逃れることはできないので、契約前にきちんと買主に説明を行った方がいいでしょう。
不動産投資における契約解除の種類5.特約による解除
特約による解除とは契約の内容に応じて、解除を行うことです。
例えばローンを申し込んだにも関わらず、貸付が受けられなかった場合ローン特約による解除を行うことができます。
不動産投資における契約解除の種類6.合意による解除
合意による解除とは、売主、買主、双方の同意の上での解除です。
売買契約書の重要確認項目
一度契約を締結すると、その契約を解除することは非常に難しいです。
そのため売主は「その物件を本当に手放してもいいのか」「瑕疵の説明責任を果たしているのか」など、契約前にもう一度確認しましょう。
買主は、「無理のない範囲の契約なのか」「支払いは可能なのか」などを改めて確認しましょう。
売買契約書に関しては、「書面に希望の条件が書かれているのか」「無理のない条件になっているのか」「不明確な部分がないか」を、判を押す前に確認して下さい。
専門的な契約内容に関しては、不動産業者が相談にのってくれますし、専門家の紹介も行ってくれます。
契約が締結した後は売主、買主とも迅速に自分の役割を果たすようにしましょう。