一般的に不動産売買を行う際は、売主と買主の間に不動産業者が入ります。両者が不動産や法律に関して専門的な知識を持ち合わせていない限り、不動産業者を通さず売り手と買い手が直接取引することはありません。
全くの素人やわずかな知識で、直接交渉ことは極めて危険です。相手に騙されお金を支払わられないまま物件だけ取られてしまった事例や、契約してお金払ったにも関わらず、物件の権利がない契約などを知らないうちに結ばされる事例さえあります。
身を守るためにも不動産取引の際には、不動産会社に仲介を依頼しましょう。不動産会社は両者の間に立ち、両者が納得する形で契約に結び、法的な面を含め不動産売買にかかる全てに対しサポートを行ってくれます。契約後のアフターフォローを行っている会社もあります。
しかし不動産会社にしても、無料で間を取り持つことはできません。
不動産会社に仲介を依頼した際に、発生するのが仲介手数料です。
仲介手数料は成功報酬のため、契約が結ばれた時点で売れた額から手数料が引かれます。仲介手数料の割合を知らずに契約を結んでしまうと、契約額と実際の振込額が違う!と、トラブルになってしまいます。
不動産売買を行う際には、仲介手数料の仕組みや役割、重要性についてきちんと理解をしておきましょう。
仲介手数料の3つのポイント
①仲介手数料は法律で上限が決められている
仲介手数料は法律で何%までと、上限が決められています。そのため上限より高い仲介手数料をとっている会社は違法です。
仲介手数料の上限は以下の通りです。
売買金額 | 手数料 |
200万円以下 | 5.4% |
200万円以上400万円以下 | 4.32% |
400万円以上 | 3.24% |
このように不動産の売却額によって、いくらの手数料を上限に支払うかが決まっています。
売買代金が1,000万円だった場合、売却額は400万円以上に当てはまるから、
1,000万円×3.24%=32万4000円と思うかもしれませんが、そうではありません。
この場合
1)200万円以下の金額
200万円×5.4%=10万8000円
2)200万円以上400万円以下の金額
200万円×4.32%=8万6400円
3)400万円以上
600万円×3.24%=19万4400円
と計算し、支払う手数料は1)、2)、3)を合算した38万8800円です。
今回紹介したのはあくまで上限額です。仲介手数料を上限ギリギリに設定している業者もあれば、上限額よりかなり低い割合に設定している業者もあります。下限に対する規定は一切ありません。そのため仲介手数料を無料にしている業者や驚くほど安くしている業者もあります。(手数料無料の業者は他でお金を取っているので、無料だから良いとは一概に言えません。仲介手数料を安くしている業者のカラクリは、「仲介手数料以外に必要な手数料もある」、「仲介手数料の安すぎる会社は逆に危険!」で詳しく説明しています。)
②仲介手数料を支払うタイミングをあらかじめ決めておく
仲介手数料は売買契約が締結した際に、不動産業者に請求権が発生します。しかし厳密には契約をした時点ではまだ売買が成立していません。不動産の引渡しが完了した時点が、売買契約が成立した時です。そのためどの段階で仲介手数料を支払うのか、事前に不動産会社と話をしておくことが必要です。
③仲介手数料以外に必要な手数料もある
不動産会社は「不動産を売りたい!」という売主に対し、広告活動などを行い、買主を探し出してきてくれます。この広告費や営業活動費は仲介手数料に含まれているので、請求されることは通常ありません。しかし以下の3点を満たしている場合、例外的に請求できることがあります。
1)売り手の希望によって発生した経費
2)通常の仲介業務では発生しない経費
3)実費
例えば、もっと広告を出して欲しいと思い、新聞広告に物件の紹介を出して欲しいと不動産会社に依頼したとしましょう。新聞広告を出すのは、売り手の希望によって発生した経費と言えますし、不動産会社が通常そのような広告活動を行っていないのであれば、これは通常の仲介業務では発生しない経費だと言えます。不動産会社が会社のお金で売主の希望通りに新聞広告を出せば、実費になるのでこの場合、仲介手数料以外に広告費を請求されても仕方がありません。
しかし悪質な業者では、以上の3点を満たしていないにも関わらず様々な名目を付け、手数料以外の金額を請求してくれることがあります。不当請求を受けないためにも仲介手数料以外にかかる経費について知っておきましょう。
仲介手数料の安すぎる会社は逆に危険!
1000万円で自宅を手放そうとした際に、仲介手数料が38万円の会社と20万円の会社があれば、誰しも20万円の会社の方がいいと1円でも手数料の安い会社を選ぶでしょう。しかし手数料の安い会社には注意が必要です。
仲介手数料は不動産会社にとって利益です。利益を減らしても経営を成り立たせるためには、その分コストカットを図る必要があります。少数精鋭で人件費を削減し、安い手数料を実現しているような会社もあれば、広告活動費を削減することで安い手数料にしている会社もあります。経営努力による安い手数料なのか、相場より安く物件を売ることで1つの物件の売買にかかる労力を減らし、安い手数料を維持しているだけなのかなど、なぜ安いのかその理由を見分ける目を持つことが大切です。
結論:仲介手数料は必要!だけど、安すぎても高すぎてもダメ
不動産取引におけるトラブル防止のためや、相手に騙されないためにも不動産会社に仲介に入ってもらい、お礼代として手数料を支払うことは必要です。しかし仲介手数料は取引額が大きくなればなるほど高くなるので、どうしても支払うのがもったいなくなり、少しでも安い業者を選びたいと思いますが、安い手数料のカラクリは売却活動をしていないことや極端な安売りにあるのかもしれません。
仲介手数料を含め総合的に、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。どこに依頼すればいいのか・・?と途方にくれて胃る方は、ネットでの評判の良い業者を選ぶと失敗のない業者選びができるでしょう。